【新潮文庫】Story Seller
『読み応えは長篇並、読みやすさは短編並』をキャッチフレーズにした短篇集。
伊坂幸太郎、近藤史恵、有川浩、佐藤友哉、本多孝好、道尾秀介、米澤穂信という、人気の面々が参加しています。(敬称略)
僕が初体験だったのは、近藤史恵、道尾秀介、米澤穂信の三人でした。と言っても、佐藤友哉、有川浩も一作品くらいしか読んでないので、本多孝好と伊坂幸太郎以外は初めてと言っても問題ないかも。
どの作品も、キャッチフレーズに違わず面白い作品ばかりでした。アンソロジー的な作品は当たり外れも多いけど、やっぱり面白い作品や作家さんに出会えるこういう短篇集はいいなぁ。
全体的に最後にやられた!と思える作品が多くて、個人的な趣味とも合って良かった。
ストーリーセラー、光の箱、プロトンの中の孤独がお気に入りかなぁ
伊坂幸太郎『首折り男の周辺』
巷を騒がせる殺人犯に間違われた気弱な青年とその周りの人々のお話。
いつもの、伊坂幸太郎的世界観で、構成は流石といった感じでした。
近藤史恵『プロトンの中の孤独』
ロードレースを題材にした作品なんですけど、ストーリーセラーを読んで一番いい出会いだったなぁと思いました。この『プロトンの中の孤独』を読んでから、そのまま、『サクリファイス』『エデン』とハシゴするくらいにハマりました。
もともと、自分がロードレースに興味あったこともそうだけど、ロードレースの奥深さとか、人間模様が自然に入ってきて、凄く面白かった。ストーリーセラー2、3でもどうやら続編があるようなので、そっちもぜひ読んでみたいなぁ
有川浩『ストーリーセラー』
思考すると寿命が縮まるという難病にかかった作家とその夫の物語。
突飛な設定だなぁと最初は思ったけど、それが気にならないくらいに素晴らしい作品でした。
冒頭、病気が告知されて、なんとなく重い空気から始まるんだけど、それを忘れるくらいに、小説家の妻と夫が出会った過去の話が良くて、にやにやが止まらなかった。
けど、自分だけの作家だった彼女が世間にも認められていって、そこでぶつけられる負の感情はもうね、読んでいて辛かった。そして、どん底に突き落とすように病気の発症。遣る瀬無いよ。
それでも、書くという事をやめない彼女の生き方と、最後に書いた言葉には涙が止まらなかった。ホントに凄い愛の物語でした。
シアター!しか読んだことが無かったので、有川浩はこんな作品も書くのか。とびっくりしました。
米澤穂信『玉野五十鈴の誉れ』はずっと漂っていた暗い雰囲気と最後の一文にゾクリとさせられるものがあったけど、嘘だーと思う所もあって、ちょっと入りきれなかったかなぁ。あと、佐藤友哉『333のテッペン』本多孝好『ここじゃない場所』は昔に読んで、内容をハッキリ覚えてないのでここでは省略します(おい
道尾秀介『光の箱』
同窓会のために十四年ぶりに故郷に帰ってきた主人公のお話。
この作品も良かったなぁ。同じ出来事でも視点がかわれば、色々見えてくるものは違うんだなぁと。これこそ、終盤で、「やられた!」と叫んじゃいましたね。終わり方がボク好みでよかったよかった。思わずにやりとさせられた。
道尾秀介さんの作品は他にも気になっているのがいくつかあるので近いうちに読んでみよう。
- 作者: 新潮社ストーリーセラー編集部
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/01/28
- メディア: 文庫
- 購入: 12人 クリック: 132回
- この商品を含むブログ (159件) を見る