【BEAM COMIX】乙嫁語り【森薫】

【あらすじ】
19世紀、ユーラシアは中央アジアカスピ海周辺の地方都市。
弱冠12歳の少年カルルクは8つも年上の美しい女性、アミルをめとった。
そこから始まる彼らの日常の物語



いやぁ、これは面白かった。発売当初から買おう買おうと思っていてようやく買ったんですけど、いい感じです。とってもいい感じです。
まず特筆すべきは、書き込み具合ですね。衣装や背景、家や絨毯など、とにかく綿密に書き込まれている。そのおかげで作品に重みが増している。
大げさに言うとドキュメンタリーを見ているような感覚でその世界観に入っていける感じでした。
また、登場人物が魅力的なんですよね。ヒロインのアミルが可愛らしい。
年上でしっかりしていて、一人で狩りに行っちゃうくらい強いんだけど、天然な所や弱さもあって、2巻で見せたアミルの変化なんてまるっきり反応が乙女なんですよ。
ばあさまから言わすところの嫁心がついたあと、アミルとカルルクがじゃれ合っている所は本当に楽しそうでニヤニヤしてしまいました。
親が決めてくる婚姻が普通で、それに対して何も疑問に思わないような環境って、現在の日本じゃ異質で理解しがたいモノだと思うけど、こんな風に愛を育んでいけるのはすごく素敵なことですよね。

あとお気に入りの話は2巻の第10話『布支度』
嫁入り道具である布に施す刺繍を小さい頃からする習慣がその地方にはあって、子供のティレケは自分の好きな鷹ばかりを刺繍する。見かねた母親はアミルや代々受け継がれた刺繍をティレケに見せる事になり―――というお話なんですけど、
凄くよかった。家ごとに、代々受け継がれている刺繍があって、少し変わったり増えたりしてまた次へと受け継がれていく、こういうものが本当の文化であり伝統なんだなぁとしみじみしました。
こういう事にアイデンティティーを持てるというのは素晴らしいことですよね。
たぶん、昔の日本にはあって、今は少なくなっているモノの一つなんだろうなぁ。この作品を読んでいて、改めて家族や村の繋がりの大切さみたいな事を感じました。
今の日本で問題になっていて、必要な事って案外、高度成長という道を選択する過程で捨ててきてしまったモノなんじゃないかなと思います。


あれ?僕はなんの感想を書いていたんだ?あれ?

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 1巻 (BEAM COMIX)

乙嫁語り 2巻 (ビームコミックス) (BEAM COMIX)

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