【BIRZコミックス】大東京トイボックス5【うめ】

【あらすじ】
ようやくスランプから脱した太陽。太陽率いるスタジオG3は電算花組とMMGで共同開発をしているデスパレート・ハイスクールをコンベンションに出すために一丸となっていた。しかし、電算花組が担当するシナリオ部分がコンベンション開催元であるソリダスワークスの独自倫理調査部であるソリダスチェックの審査に引っかかったとの連絡を受けーーーー


今回はいつにも増して濃ゆい濃ゆい一冊でした。ずっと不気味に動いていた卜部の過去が明らかになり、目的もぼんやりと見えてきたけど、これは根が深いなぁと。しかも政治まで絡んできて……表現の自由、自主規制、レーティング、まさに春先に起こった非実在青少年問題ですよね。

他人事ではない当事者たちはどうするか、という所でこの巻の主役はなんと言っても電算花組のボス、花ちゃんです。面白いものは面白いというシンプルなシステムを作る。作りたいものを作る。ただそれだけの、出発点は純粋でシンプルなのに、そのシンプルな事がただただ難しい。努力もしきたし、実際に収益も出していた、でも気付けば変えようとしていたシステムに組み込まれていた時の遣る瀬無さったらないよね。社会というシステムの中で、『売れる』ものを作るという事は難しいんだなぁとしみじみ。
花ちゃんの中で薄れていきそうなものを、同じく失いそうになって取り戻していた太陽が側にいた事はとても大きかったよね。
それでも現実を突きつけられた時に、思わぬ所から差し伸べられた手はどれほど救いになった事か。自分の積み上げてきたものが決して無駄では無かったと思えるのは、今後も大きな財産ですよね。

にしても、色々な表情を見せてくれて、少しずつ変わっていた花ちゃんが可愛いの何のって(結局そこかよ)

最後の引きも凄かったし、ホント続きが気になる作品です。面白かった!

大東京トイボックス(6) (バーズコミックス)

大東京トイボックス(6) (バーズコミックス)